2009年08月22日

大和路タイムトラベル列車が行く

『京都から奈良へ来る汽車は、随分きたなくガタガタゆれて不愉快なものだが、沿線の景色は
それを償うて余りがある。』
和辻哲郎「古寺巡礼」の中の一文である。

大正七年(1918年)およそ一世紀前の汽車の旅の事であり、現在と比較してレールも客車も
かなり違っているものとは思う。
それでも大阪や京都方面から奈良県に入ると、それまでの景色と一変して、旅情溢れる
古都の景色に、違う時間に入り込んだような錯覚をしてしまいそうだ。

自然溢れる大和路の只中を通り過ぎてゆく列車は、しっかり景色に溶け込み、和辻哲郎が見た
100年前の景色にダブらせることができる。

奈良の景色は長旅をしてでも見る者を癒してくれる価値ある景色なのだ。



残照の二上山を行く登り列車
近鉄南大阪線.jpg



二上山の麓を走るのは近鉄南大阪線
日の落ちた直後、わずかに夕焼けした空に二上山の雄岳、雌岳がくっきりと浮かびあがる。
光を失った水田の中を6400系普通電車が音も無く駆け抜けて行った。 なんだが淋しくなる
叙情的な景色だな〜。




死者の住家佐保山を行くオレンジの列車
JR大和路線.jpg


JR奈良線の平城山(ならやま)駅近くを行く電車。
オレンジ色がヒマワリ畑にピタリじゃないか。 この車体は103系と言うようだ。
関西線や大阪環状線でも良く見かける。
電車にも属性というか分類番号や固有の名前があるので、できたら自分も正確な名称で呼んでみたいのたが。

平城山駅は京都府木津川駅から奈良県奈良市に入って600mの距離のところにある。
回りは平城京時代の高級墓所、佐保山の西北端にあたり、古墳群に囲まれた一帯だ。
かつての死者の住家だ

古墳と電車。全く相容れないようだが、人を入れる箱という点では不思議にもしっくりする。
死者と生者という違いはあるが。



卑弥呼の墓を通り過ぎる桜井線
JR桜井線.jpg


JR桜井線を行く緑の列車。この列車の車体名称は知らない。
背景のこんもりとした森は、卑弥呼の墓と噂される箸墓古墳。 
奈良大和路は1300年以上前の物語と現代の旅情が混在する不思議な空間だ。
タイムトラベル列車が通り過ぎてゆく景色をそこに見ることができる。



posted by ハマー at 16:09| Comment(0) | 列車の見える景色 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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