2014年10月04日

花よりも濃き紅の茎秋海棠

 金峯山寺蔵王堂から400mほど南に上がった分かれ道のところに朝日館という和食の店がある。初秋のこの時季、店の向かいの切通しの斜面を秋海棠の薄紅色した可憐な花が覆い咲く。朝日館のおかみさんは接客の合間を見つけては花ガラを摘んだり、傷んだ葉を取り除いたりと道行く人の目を楽しませるべく手入に余念がない。

 P9210663秋海棠

 秋海棠の葉が左右対称じゃないことを教えてくれたのが朝日館のおかみさん。なるほど確かにハート型のひしゃげたようないびつなかたちをしている。今まで幾度も見たことのある秋海棠だが気が付かなかった。確かに非対称である。だけどちっとも不自然な感じがしない。
 よくよく見直してみると、右半分が大きい葉、左半分が大きい葉が交互に並んでいる。いびつと見えた秋海棠の葉、実は一対の葉でもって正しく対称をなしているのだ。例えば人間の手のひらの形が右と左では違うように。この葉の形、葉の並びが実に自然の摂理に適った姿であり、安定した「美」の形を持っていることに驚かされる。

 タイトルに借りた『花よりも濃き紅の茎秋海棠』は虚子の流れを汲む俳人阿部みどり女の一句。まるで血管の流れのような葉柄の赤い筋。秋海棠の花に翳りのある美しさを覚えるのはこの濃い紅色の葉柄のせいだろうか。 初めは、高浜虚子の次女・星野立子の『いびつなる秋海棠の広葉かな』をお借りするつもりだったが、みどり女の句が写真に合っているのでお借りした。

 朝日館のおかみさん、年の頃は自分と同じくらいか二つ三つ年下のような気がする。なかなかの美人である。花にたとえれば、開き始めの牡丹のような。『春の桜が有名すぎて紅葉の時季ですら人が少ない』とちょっと不満げに言った時の顔はキュートとだった。
 吉野山を訪れる楽しみが増えたかも。「七宝の花瓶に活けし牡丹かな」子規

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posted by ハマー at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 吉野山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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