2011年07月15日

巨大女陰岩信仰 奈良平群町


神秘の里 奈良平群町

平群町は西の生駒山地と東の矢田丘陵に挟まれた谷地に拓かれた町で、北から南に流れる生駒川沿い
の低地から山麓にかけて田畑が広がる。大阪のベッドタウンとして急速に市街地化が進んでいるもの
の、起伏に富んだ山谷の連なる美しい盆地である。

 s-P7126371椿井集落から生駒山地遠望.jpg

町の三分の二以上を生駒山地が占める平群町であるが、地図を見ると神社が20社、寺院が43寺あり、
これらの神社が生駒・矢田山系の山麓地帯の山かげのあちこちに分布する。

平群町の神社に特筆すべきことは、この20社のうち8社が平安時代972年に顕された延喜式内社の神
名帖に記載されていることである。個々の神社においては古墳時代に遡るものもあるだろう。実際に
訪ね見るに古びた神社が多い。一千年以上もの間、この地に住む人々に支持されてきた社である。

 s-P7056104平群町杵築神社.jpg


平群石床神社

平群町の南、伊文字川近くの山裾に『高さ九m、横幅十八mの巨岩がある。古来これが御神体とされ、
その中央の裂け目が女陰をあらわし、性崇拝の対象とされてきた。性の営みと関連づけて作物の豊饒
を祈る原始信仰の社である。(中略)元は石床そのものの霊を祀ったものである(らしい)。』(谷川健
一 『日本の神々4(大和)』白水社)

 s-P7146427平群石床神社.jpg

夏の盛りのこと境内は雑草に覆われ足を踏み入れるのに躊躇させられる。
旧い写真(‘06)を見ると巨岩を一見できるが、今は樹木が遮り問題の裂け目は見えない。岩の巨大さ
はよくわかる。写真を撮るために鳥居の向こう、樹木の裏側に入りこむ。岩の下に立つとその大きさ
に圧倒させられる「この岩が崩れたら、下敷きになって・・・・」と一瞬怯む。
岩は自然な状態というよりも削り取ったような、切り取られたような形状にも見える。ここは、こと
によると古墳時代の採石場だったのではないのか、と疑問が湧いてくる。

 s-P7146434平群石床神社巨岩.jpg

確かに見事な岩の割れ目いや裂け目があった。ファインダーで切り撮っていると、本当に女陰に見え
る。でも女陰を想像してもそれはけっしてイヤラシイことではない。ここは先に用意された信仰の空
間なのだから、恥じることはない、思い浮かべ崇め敬うべきものである。

 s-P7146445平群石床神社裂け目.jpg

この巨大な岩、石床神社の旧社地にあるのだが、朱塗りの鳥居が立ち今も少しは土地の人々の信仰を
集めているようだ。しかし、何故この見事な御神体を見限って別の場所に遷座したのだろう。大正十
三年(1942)のことである。考えられることは、この前年の9月に発生した関東大震災の影響。きっと
岩の崩落を心配した村民が安全な現在の場所に移したのではなかろうか。関係ない話であるが。


生駒山口神社
生駒山口神社は近鉄生駒線元山上口駅から西北方向に上がった小山の頂上にある。神社のすぐ間際ま
で住宅団地が迫る。
境内に入ってわかったが、この神社には昨年の冬一月に来たことがある。千光寺へ行く道の途中たま
たま参拝したことがあった。今日はこの神社の下を流れる櫟原川の神前橋あたりにあるという「御幣
岩」を撮りたくて来た。

 s-P7106240御幣岩・生駒山口神社.jpg 

毎年10月に行われる「オハツキ」という例祭が行われる。お旅所(オハキ)に遷座されるご神体の送迎
に奉仕をする当屋(とうや)と当屋補佐(ケニヨン=給仕人)の二人は祭りの間、社前の櫟原川の渓流で
禊を続ける習わしがあり、「御幣岩」は河原の禊の場にある。
岩に刻まれた御幣の中には、祭りの期間生駒山口神社のご神体である素戔鳴命(すさのおのみこと)の
守護神である不動明王が勧請(分霊)される。つまりこの岩は不動明王そのものということになる。
禊の場に不動明王像が祀られていることは珍しいことではないが、岩に刻んだ御幣を見たのは初めて
で、他に例がないのではないかと思う。磨崖仏の一つと考えてもよいだろう。

 s-P7146417椹原集落坂の家.jpg

神社を境に、東側には住宅団地が立ち並ぶ日常の景色が広がり、一方、神社の西、生駒山地に続く農
村地域には今も尚古代から連綿と繋がる精神世界があるというその両価性にショックを受ける。
この落差が産み出す感覚こそが平群町の魅力というか、自分をひきつけてやまない理由かもしれな
い。神秘の里、平群町。
posted by ハマー at 18:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 斑鳩・生駒 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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