2011年03月07日

飯田蛇笏 梅 写真附句

山の辺の道 中山町に飯田蛇笏の句を想い梅の花を撮る

 s-P3030910白梅の宙3月3日.jpg 
 

『 空高く白梅の咲く風景色 』

白梅にレンズを向けていてふと上空を見ると、さっきまで青一色だった空に、見る見るうちに筋状の
薄い雲が浮かび出てきた。
「風景色」とはこんな空のことを言うのだろうか。遠く日本海を渡り北陸の地に雪を落とした大陸の
寒気がこの地の上空に造った巻積雲。梅は咲いたが、冬はまだ腰を据えたままだ。

 s-P3050997たに梅.jpg

『紅梅のさきしづまりて見ゆるかな』 

しんとした冷気のなか山里は穏やかな朝を迎えた。太陽は山の端から顔を出したばかりであたりはま
だ仄暗い。里山の中腹に薄紅色の一本の梅の樹がひっそりとたたずんでいるのが見える。


『ぱつぱつと紅梅老樹花さけり』

 s-P3050966弾け咲く白梅.jpg

飯田蛇笏の「梅」のなかで、もっとも好きな一句。
梅の花が「ぱつぱつと咲く」なんていうそんな感覚は自分の中になかった。「老樹」という日本画で
好んで取り上げられるモチーフとの対比、展開が刺激的だ。この句を知ってから、自分の「梅」を見
る目が変わった。飯田蛇笏としては珍しく華やかな絵画的な句である。
紅梅老樹を探し歩いているが今だ格好の樹に会えずにいる。とりあえず「白梅」でイメージする。

『夕昏れて紅梅ことにさけるみゆ』

 s-P3051185夕暮れて梅.jpg s-P3051159中山町昏梅.jpg 

「梅」を見るなら朝一番と決めていたが、試しに夕暮れ時に撮りに行く。
今日の日没時刻は5時55分。太陽が西の空に傾いてゆくに従い、急激に気温が下がって行く。時おり冷
たい風がとおり過ぎる。寒い。車にコートを脱いできたことを後悔する。
「ことにさけるみゆ」とはどういった感じだろう。「ひときわ色紅く咲いていた」という意味だろう
か。目の前の梅は少し薄色の「紅梅」であるが、いつもと違う「梅けしき」を捉えることができた。
た。

『紅梅のうちひらきたるばかりなり』

 s-P2240422紅梅打ち開く.jpg

「うちひらく」の「うち」は「ちょっと」とか「すこし」という意味だろう。
梅の木にすっかり紅く色づいた蕾を見つけたが、肝心の花はまだ一輪、二輪咲いているだけ。少し気
落ちした様子がよく伝わってくる。
野原ではまず白梅が咲き、そしてかなり遅くに「紅梅」は咲き始める。白梅も十分美しいが、やは
り「紅梅」の華やかさには勝てない。「紅梅」が咲く頃、野山には春の気配が漂い始める。


飯田蛇笏全句集を二度読み通した。
明治36年(1903)以前から昭和37年(1962)までの60年間に詠んだ句は「録するところ」6247句にお
よぶ。

「梅」を詠んだ句は、正確に数えてはいないが40句以上あるだろう。
椿の句はやや少ないものの同程度ある。「桜」を詠んだ句は極めて少ないし、しかも山桜にかぎられ
ている。
飯田蛇笏の山国の暮らしにあって、梅の花はごくごく身近なものであった。

『紅梅になほななめなる日の光』
『風冴えて宙にまぎるる白梅か』
『ゆく雲に野梅は花のなごりかな』
『まのあたり梅さく2月十五日』
『草原や花うるみたる梅一樹』

 s-P3030842白梅道に咲く.jpg
 
『雑木原白梅ぬれて鵯の啼く』

s-P3111241梅にヒヨドリ.jpg

※ 参考図書
 新編 飯田蛇笏全句集 昭和60年4月10日 初版発行 角川書店

posted by ハマー at 20:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 山の辺の道 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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