2010年03月15日

山の辺の道に「椿」を探して(1)

「椿」は春の訪れを知らせる木。春に咲く梅や桜にくらべて花木としての華やかさには負けるものの、
椿には物言わぬ神秘的な気配が漂う。
緋色というのだろうかあの濃い赤色と、深緑色の艶々とした厚い葉を見る時、思考の深みに吸い込ま
れるように感じる。
花言葉は「控えめ」「慎み深い」。赤い椿は「高潔な理性」、白い椿は「控えめな愛」だという。
なんだか素直に納得できる。


 三月堂の崖に咲く椿.jpg 



椿は日本原産の花でヤブツバキが原種。山の辺の道では石上神宮から夜都伎神社の間の山道で良く
目にする。竹やぶの縁や高木の下など半日陰のところで咲く。赤い花が咲く時季以外ではつい見過ご
してしまうだろう。
「控えめ」というのはこういう植生から来ているのかもしれない。


 山の辺の道「藪椿」.jpg   


寺や神社では必ず言ってもよいほど目にするのは、神木、霊木といった宗教上の理由や、公卿、僧侶
の間に流行した茶道、華道の影響もある。が、それ以上に「椿油を採るということに拠るところが
大きい。
奈良元興寺の古い伽藍図には椿園があり「椿樹数株採実為油」と記されているという。旧椿園は
元興寺極楽坊に近くにある「花園町」の地名が往時を物語っている。かつて椿は日本各地で採油を
目的としてもっともっと栽培されていたはずだ。


 天理市木堂町農家の椿.jpg  


「椿」を描いた絵画の歴史を見ると、「梅」にはついて中国から描法が伝わったので日本でも特に
山水画に多く残っているが、「椿」は日本原産の花木であったために中国で描かれることはなく、
日本では江戸時代以降にポピュラーになったという。好きな絵画として速水御舟の「名樹散椿」と
川合玉堂「椿花小禽図」がある。しかし、木全体を描いた絵は少ないようだ。花鳥図や、枝に数輪
の花という構図が多い。絵画のせかいでも椿は控えめのようだ。


 奈良公園の椿.jpg 
 
posted by ハマー at 02:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 奈良のこといろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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