2009年07月11日

ロマネスクな奈良監獄

ロマネスクな奈良監獄

奈良少年刑務所前景.jpg

般若寺のごく近くに奈良少年刑務所があることは知っていたが、わざわざ訪ねる
理由も無くこれまで素通りしていた。
今日はじめて見たその赤レンガ造りの瀟洒な建物はとても通り過ぎるには行かない力強い印象を
与えるものだった。

正門越しに見た事務棟.jpg  刑務所正門.jpg

明治41年に開設されたロマネスク調建築様式のこの監獄は古都奈良の景観に違和感を差し挟む
ものではなく、すでに奈良の風土にじゅうぶん馴染んでいる。

設計者の山下啓次郎氏は千葉、長崎、金沢、鹿児島、奈良にある五大監獄の設計者として知られている。
日本に現存するローマ風建築物ロマネスク様式の建物は数少ないものの今も大阪や東京に見る
ことができる。 
他に山下氏の設計した建物として旧名古屋地方裁判所が完全な姿で残されている。

氏が設計した他の監獄では金沢監獄の一部が愛知県「明治村」に移築されている。
千葉監獄の正門以外他の建造物は取り壊され現存しない。
文明開化を匂わせる貴重な建物に係わらず、ためらいも無く取り壊されるのは、監獄というマイナス
イメージに起因するのだろう。
尤も、山下氏は刑の執行場所としてそれまでの監獄を、更生の場としてチェンジすることをコンセプト
として、これまでに無い明るい、まるでイベントの館のような建物にしたのだ。


ところで、長崎監獄が撤去されたのは2007年のことという。
長崎県諫早市はとても貴重な建造物を瓦礫にしてしまったのだ。
文化に対する無知のなせる業か、許容できない監獄の歴史に起因するものなのか、今となっては
思案の意義も無い。
かつての奈良市が歴史的建造物に無関心だったことを後悔したように、諫早市がそうらなければ
良いのだが。
※長崎監獄については下記のブログURLに詳しい。
http://all-a.net/a_map/jp_nagasaki/na_prison.html

奈良を訪れる観光客の多くが宗教・仏教とのかかわりも無く寺社・仏像を観光するように、
監獄も歴史的・美術的建造物としてみれば、よろしいのではないのか。

明治政府は廃仏毀釈の掛け声とともに古都奈良の古寺の多くを取り壊した。
現存する興福寺すら県庁や裁判所、奈良ホテルの敷地として浅はかにも破壊し接収した歴史を持つ。

奈良監獄/奈良少年刑務所の建物が役目を終えても時の役人が後世長く保存する道を選ぶことを
祈念する。
posted by ハマー at 22:32| Comment(0) | 奈良のこといろいろ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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